
医学部の二次試験の実態を取材しました。
医学部受験生が経験する二次試験。一次試験で実力を出し切れていない受験生は二次試験での逆転、もしくはより確実なものにしたいですよね。
実は面接は本質となるものをしっかり抑えれば難しいものではないのです。
実際に私自身二次試験をしっかりクリアし合格しています。
今回は現役で医学部面接を担当している3人と過去に医学部の面接試験と現在は病院の採用面接を担当している人に取材しました。筆者自身も現役の医学部生です。
2次面接対策の有効性は?
結論から言うと今回のインタビューや私自身の経験から二次面接の対策は必要ないと思います。多くの医学部予備校などで面接対策などと言いますが、これらはそのような対策講座を通じて入塾に導こうという思惑の方が大きいと思われます。つまり本質的には意味がないです。
このように考える要点は全部で2つあります。
- MMIの導入
- 医師にふさわしくない人を落とすだけの面接
1つ目のポイント:MMIの導入について説明していきます。
東京慈恵会医科大学、東邦大学、藤田医科大学、東北大、千葉大などで取り入れられる面接方法です。MMIの特徴は個人面接を複数回行い、その都度、面接官およびテーマを変えて実施するやり方です。
最大の特徴は、受験生に深い知識や教養が求められる所です。
つまりこのような形式をとる大学に小手先の面接対策をしたところで高い評価をもらうことは困難です。
2つ目のポイント:医師にふさわしくない人を落とすだけの面接について説明します。
この形式で行われている場合、最低限のコミュニケーションができれば、合格という形式です。つまり努力をしたところで合格する人は合格し、面接が不合格という人は面接対策で合格ができるというものではありません。この形式の面接で不合格をもらう人は違う道に進む方が良い場合もあります。順当に一次試験の結果が合格につながります。
どちらのパターンにおいても貴重な時間を使って面接対策を行う必要があると思いますか?そのようなことをするよりも、一次試験の点数を上げるべく勉強することをオススメします。
二次試験で逆転は可能?
一次試験で合格したものの、手ごたえが十分でない場合二次試験で逆転しようと頑張りたくなりますよね。少しでも合格する可能性を高くしたいのが受験生の思いだと思います。
ここから話す内容はMMIや不適切者を落とすだけのスタイルを実施している大学以外についてです。
結論から言うと複数校の関係者に明確な回答はなかったのですが、証言に基づき解釈したことを紹介します。
医学部の二次試験に進めるのが平均すると志願者の上位10%になります。その上位10%を成績順に5グループに分けます。その最下位グループに属する受験生が最終的に入学するには顕著な成績や結果がないと厳しいと感じました。つまりほとんど入学できないというニュアンスに感じました。
また話を聞いていて、逆転はないように感じる大学であると感じた大学もありました。
ここまでくると何も対策する必要がないように感じますが、1点に何十人も存在することが普通です。ですから、少しでも努力をするのは適切という反論があります。
しかし、それでも対策する時間は最低限にする方がよいというのが大学の先生や私自身の感覚です。
何点上がるのかわからない二次対策に時間をかけるよりも、明確に点数化される一次試験を上位で受かることを目標に頑張るべきと考えます。
受験生が期待するような大逆転は起きないだろうというのが見解です。
一方で国立を受けずに私立の医学部において明確に行きたい大学の医学部があり、かつ複数校一次試験を合格しているのであれば、その大学に特化した面接対策をしてもよいかもしてません。全く意味のない数値ですが、一次試験に3校合格していると、1校は合格するのが平均値です。
面接で意識することは?
結論から言うと、面接官が見ているのは一緒に働きたいと思うかが大事なポイントです。
入学前は面接官から質問されたことにどれだけ良い解答を出せるかが大事だと思っていました。
多くの大学で設問ごとに評価しているのではなく、例として医師として適切か、一緒に働きたいかなどの決められた項目に対して面接を通じて総合的に評価していることが分かりました。

評価がばらつくよう受験生を評価しているよ。
皆さんにも経験があると思いますが、アンケートなのでA(大変良い)~E(とてもひどい)などで評価する際、BやCに集中しがちになりませんか?
一緒に働きたいとは?
医師の同僚として一緒に働きたいと思うことを具体的に考えていきたいです。
共感力・物腰柔らかである・アイコンタクト・良きリーダーシップなどです。
医師である以前に人として大切なことですよね。うーん、僕もそんなにできていないというのが本音です。
医学部入学後もこれらの振る舞いは教育を受けます。実習でも評価項目にある大学もありますから、近年の医学部が非常に重視しているのがわかります。
受験生がもともとできていると自信があればよいですが、少し足りないと感じたら面接中軽くうなずくなどしとくとよいです。医学部の授業でも大切であると強く言われています。
せいぜいこのくらいですから、長時間かけて対策をするなら一次試験対策をしましょう。
面接官の本音は?
ここまではかなり真面目なことを書いてきました。もちろん大切なことばかりですが面接官の本音はどのように思っているのでしょうか。

面接で受験生のことわかりますか。
と実際に聞きました。
結論から言うと、分からない。しかし、本当に医師として不適切な人はわかる。とのことです。
大学の先生自身もこれで十分という考えかつ、これ以上努力してもわからないということが実情です。先生自身も評価されているため、頑張ったり工夫しているが難しいのが本音です。

自分も評価されてしまうなんて困っちゃう・・・。
とポロっと話しておられる方もいました。
では、面接は不適切な人を省いているだけで意味があるのか思いますよね。
ある医学部の学長の発言によると
入学試験と大学での成績に相関関係は見られないが、面接試験とでは緩やかな相関関係があるそうです。
このような発言からも、完璧に受験生を評価することは難しいがこれからも工夫をして面接を行っていくと考えられます。
私自身が行った面接対策は?
ここまできて小手先の対策では面接に活かせないことが分かっていただいたと思います。また、面接を頑張っても不合格を合格に変える特効薬ではないことを理解されたと思います。
この前提を理解していただいた上で効果的な面接対策を紹介します。
・時間をかけない
・自分の考えを明確化
近年の面接で問われていることを踏まえると、定番の質問に対する回答のみでは対応できなくないです。そこでオススメしたいのは、通学時間にニュースを見ることです。
- STEP1ニュースを見る毎日ニュースを確認する習慣をつける。
- STEP2要約するニュースの要点をまとめる訓練をします。何をいいたいのか、問題点は何かをまとめます。
- STEP3自分の考えをまとめる自分ならどう思うかをしっかりまとめ、なぜそう思ったか、できれば根拠となるものをまとめます。
慣れれば5~10分で終わらせることができます。この対策のメリットを紹介します。
面接対策として行っているだけではなく、小論文の対策にもなり同時に一次試験の対策にもなります。
具体的に見ていきます。
要約する力は小論文を書くのに必要な力です。また、社会全般への知識を深めることで英語の長文問題や国語の評論への対策に繋がります。前提となる知識を増やすことは、面接で自分の考えを補強し、説得力を持たせることができます。

私はニュースを見ることが好きでしたので面接対策という意識はなかったです。一方蓄えられた知識はとても役に立ちました。
まとめ
インターネット上では面接対策に関し、専門家でもない方の情報が散見されます。この先医学部の面接がどのように変化をしても、ポイントである一緒に働きたいと感じるかが重要であることは変わりないと思います。
また、二次試験対策に時間をかけすぎて、一次試験に合格できないようでは本末転倒です。現役生であれば、浪人生に比べて勉強時間が少なくなってしまいます。二次試験は最小限にする方が良いです。
一方、この記事だけでは医学部受験を完全に理解するのは難しいと思います。薄い面接対策本を1冊サクッと読むのもおすすめです。これは一次試験合格後で十分です。あくまでも時間をかけすぎないことを重視してください。
私が使っていた本を紹介しておきます。
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医学部面接ノート(2020入試対策) [ SAPIX YOZEMI GROUP ] 価格:2,035円 |
他人の回答をマネするのではなく、その人の視点とは何か、どのようなポイントを評価してほしいために本文中の回答につながったのか、考えてください。
そして、ポイントやキーワードを抽出し、自分の言葉に置き換えて表現してください。これだけで十分医学部の二次試験を乗り越えられます。
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